「桂さん桂さん、」
「、何用だ、この忙しい時に」
「ごめんなさい、でもね、ほら見て」
「……………??」
「ビー玉、珍しいでしょう?こんな人里離れた山の奥なのに」
「……」
「ほら、こうやって光にかざすとキラキラ光ってとてもきれい」
「、
「この小さなガラス越しに見る世界はとても澄んでいるのに、どうして、私たち、」
「いいから、、」
「ねぇ、いつの間に私たち、こんな、」
「……、もうすぐ、もうすぐ戦いも終わる、だから、」



だから。そこまで言って俺は言葉を切り、変わりにを抱き寄せて軽く背中を撫でた。肩口から少しくぐもった声で「もう、血の色に染まるのは嫌だよ、桂さん……」とが言う。



「もうすぐ、そんなガラス玉を通さなくても、穢れない世界が俺たちにも見えるようになるはずだ」


苦し紛れにそれだけ言うと、は一気に泣き始めた。俺はただただ、今にも壊れて崩れ落ちそうなの躰を抱き留めることしかできなかった。



水の中に光を沈めて