「榛名、手、出して」
「はぁ?」


いきなり大真面目な顔でがそう言うものだから、俺は反射的に眉間に皺を寄せる。

「いいから、手!」
「……ハイ」
「違う!左手!」

渋々差し出した俺の右手をぺちんと軽く撥ね付けて、はむっとした顔で催促する。俺は少しイラつきながら乱暴に左手を差し出した。(俺の指に何かあったらどーすんだ!)はそんな俺を尻目にごそごそと何かをし始めた。


「………?」
「できたっ!」


ふと左手を見てみれば、赤い毛糸のようなものが俺の小指で蝶々結びされていた。目で糸を辿っていくといつの間にやったのか、今度はの小指でそれが結ばれている。


「…何コレ」
「あれ?榛名知らないの?」

さっきまでの不機嫌な顔はどこへやら、はにこにこと笑いながら赤い糸を愛おしむように弄っている。

「左手の小指には見えない赤い糸が結ばれていて、その糸のもう片端は自分の運命の人の小指に繋がっているんだよ」
「へぇ」
「これで榛名と私は運命共同体!」
「、ばーか」



永遠を紡ぐ糸
(君と僕は永遠に)