「ねぇ、星を見に行こうよ」

普賢師匠からそう誘われたのは日付が変わるか変わらないか、といった時間。
普段はこんな時間にはもう寝なさい、と私をたしなめるはずの師匠が夜のお誘い。
妙な違和感を感じながら私たちは外へ出た。


「わ、今日は冷えますねー!」

風はないものの、冷たい空気を体中に浴びて思わず身震いする。
師匠は相変わらずにこにこと笑ってそうだね、と言いながら草むらの上に寝転んだ。

「見てごらん、今夜は星が綺麗だよ」

師匠にならって草の上に寝転ぶ。目の前に広がる夜空、星、星。

「……夜ってこんなに明るいんですね」

月や星の光でうっすらと師匠の顔が見える。師匠は微笑みながら空を眺めている。

「…、死んだ人は星になるんだよ」
「……真面目な顔して嘘つかないでください」

師匠はあはは、と笑って私の方を見る。

「でも、もし本当だったら素敵なことでしょ?」
「そうですか?だってこんなに多くの星があったら、たとえ星になれたとしても大切な人を見つけられないじゃないですか」
は相変わらず素直じゃないなぁ」
「師匠はいつまでもロマンチストですよね」

他愛無い会話をしながら輝き続ける星を眺める。

「…僕は星になったら必ずを見つけるけどね」
「……縁起でもないこと言わないでください」

師匠はふふ、と私の手の上に自分の手を重ねて握った。
ふと雲がかげり、師匠の方を向いたときにはもう暗くて表情は読み取れなかった。
ねぇ師匠、師匠は本当に私のこと見つけてくれるの?探してくれるの?
私はもう一度目の前の空を眺めて、繋がれた手をそっと握り返した。


目が合わせられないのは
(雲が晴れたらこの気持ちを口に出そう)