「浜ちゃん、留年決まったの?」

にこにこといつも通りの笑顔で答える彼女を見るとなんかもう色々どうでもよくなって。

「あー、まぁ、おかげさまでもう一回一年生かな?」
「いいじゃないお友達増えるよ!」

や、満面の笑みでそんなこと言われましても。
別に友達増えてもさ、嬉しくないってわけじゃないんだけど、

「……やっぱだめかも、俺」
「?どしたの浜ちゃん」

ぎゅっとを抱きしめると、ふわりといい匂いが鼻をかすめた。(あー、洗剤の匂いかな)

がいないとだめなんだよ俺」
「えー?別に校舎別れるくらいでしょ?」

それとも浜ちゃんは留年したくらいで私のこと嫌いになっちゃうの?
そう言ってはきゅ、と俺を抱きしめ返してきた。(うあ、可愛い!)

「だって梅原とかお前見るたびにやけてるし」
「そういう浜ちゃんだって春には可愛い一年生いっぱい入ってくるでしょー」

顔は見えないけどの声色はいささか重く響いた。
ああ、コイツ、

「俺はしか愛せないからどーってことないんだよ」

運命みたいな?そう笑っての頭をガシガシなでると、肩口からくぐもった声で浜ちゃん、だいすき、と聞こえた。


君がいて、呼吸ができる
(ゴメン、淋しいのはお前の方だよな、)