好きです。なんて顔を見て伝える勇気は無くて、だけど込み上げる想いは抑えられなくて。
退屈な授業中に教室からぼんやりと見上げたきれいな青空がなんか背中を押してくれた気がして。

ラブレターというものを、俺は生まれて初めて書いてみた。






「…はぁ〜、でもやっぱり無理だよなぁ…」


破ったノートのページに急いで書いた俺の必死な言葉たちはきっと彼女に届かない。正確に言えば“彼女の心まで”は届かないんだ。
読んでもらったところできっと『水谷くんておもしろいね』とかたぶんその程度。それ以前にコレを彼女に渡すつもりだって最初から無いんだし。
もういいや捨ててしまおう。溜め息と一緒にぐしゃぐしゃと乱暴に丸めたその紙を、それでも未練がましい俺はもう一度だけ開いて伸ばす。


(でもせっかく書いたのに…。ああそうだ、どうせ捨てるなら風に乗せて遠くまで持ってってもらえば、)


そうして俺はしわくちゃなラブレターを紙飛行機に変身させた。どこか不恰好なそれは俺と似ていて可愛いヤツだなと思った。










「よーし飛んでけー」


ひゅうと音を立てた少し強めの風に合わせて、教室の窓からそいつを手放した。
だけど予想とは逆に紙飛行機は地面に向かって急降下。(なんだよ、ダメなところまで俺に似てんだなー…)


『…?、紙ヒコーキ?…水谷くんが飛ばしたのー?』

「え!?」


これもまた予想外だった。紙飛行機が落ちた場所には、ちゃん。(俺の好きな子!)
しかも落ちたソレを拾ってしまった。(まじかよ!)そして当然、俺は焦る訳で。


「う、わっ…!中は見ないで…!」


だけど遅かった。ちゃんは紙飛行機を開いてしまったんだ。
そういえば丁寧に「水谷文貴より」と最後に書いていたことを今になってものすごく後悔した。
自分に宛てられたラブレターを読んだキミが、果たしてどう思うのか。


「ちょ、ちょっと待って!今そっち行くから!」


馬鹿みたいな言葉を並べたラブレターの回収と、彼女の答えを聞く為に。(俺は全力で廊下を走る!)






紙飛行機ラブレター

(迷惑だったら燃やして捨てて!)






(end)


うああフリー配布のお言葉に甘えていただいてきちゃいました…!
超憧れな方なので本当嬉しいです。幸せ!
とろろ様ありがとうございます!2周年おめでとうございます。これからも陰ながら応援しております!
何か不具合などあればお知らせください!(初めてなのでどきどきですorz)


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