「ホワイトデー?」
「っ、この前の、チョコの礼だ」

望ちゃんはそう言って私に小さい包みをくれた。
そういえば先月崑崙のみんなに蝉ちゃんとチョコを配り歩いたっけ、そんなことを一人で思い出しながら巻かれている紐をそっとはずしていく。
最後にピンク色の包み紙を開くと、中には薄桃色のトンボ玉のついた小さなかんざしが入っていた。

「わ、綺麗」

それは私の手の中で日光をきらきらと反射させて淡く輝いた。

「べ、別にお主だけに特別に用意したのではないぞ!ちゃんと蝉玉にも似たようなものを…」
「ありがと、望ちゃん」

嬉しくて笑いながらそう言うと、望ちゃんは顔を真っ赤にしてそっぽを向き、「それは、よかったな…」と小声で呟いた。



崑崙道士の憂鬱
(次の日、蝉ちゃんは太公望からお返しをもらえなかったと怒っていました)(まったく素直じゃないんだから!)



(大好きなあの人へ捧ぐ!受験頑張ってください!)