すっかり暗くなった空を見上げながら俺は一人自分の家へと続く道を歩いていた。むき出しの指が冷たい。我が野球部は冬になっても練習が緩まることはなく、俺はすっかり疲れ果てた体を半ば引きずるように足を進めた。



曲がり角をまがってようやく自分の家が見えたと思ったら、門の前に誰かが立っていた。暗くて顔はよく見えないものの、このクソ寒い中馬鹿みたいに突っ立てるやつなんて一人しか思い当たらない。



「何やってんだお前」
「ぎゃあ!!」



そいつが向こうを向いた隙を狙い足音を立てないようにゆっくり近づいて、耳元でいきなり話しかけてやる。するとそいつは何とも色気がない声を発して飛び上がった。



「たたた隆也っ……!!」
「向こうを向いてるお前が悪い」
「ひどい!」


そう言うとは俺を睨みながら大きな箱を突き出してきた。一瞬で分かる、これは、



「…こんなでけェケーキ食えねーぞ」
「誰があんた一人に食べさせるって言った!」



おばさんたちの分も入ってるんだからね!とはまた声を荒げた。ったく、お前じゃないんだからそれぐらいわかるっつの。


箱を受け取ろうとしたとき、の手がこつんと当たった。はっと気がつく、俺の指先の比ではない。手を伸ばして頬を触ってやるとやはりこっちも氷のように冷たかった。



「……いつから待ってた」
「…知らない」
「ばーか」



風邪ひくぞ、と呟いたら「ひいたら看病してくれるんでしょ?」と彼女も微笑みながら呟いた。
俺は赤く染まっているであろう顔を見られないように黙っての手を引いて玄関のドアを開け、中へ押しやる。「誕生日おめでとう隆也!」と彼女が笑うのが聞こえた。





いちごのミルフィーユ



甘いのかよくわからない夢になってしまいました…おめでとう阿部!

♪和希(憂鬱