、消しゴム持ってる?」
「え、あ、持ってる、けど」
「ちょっと貸して」
「!!だ、駄目!絶対無理!」
「なんだよ、いいじゃねーか少しくらい」
「本当無理!お願い、他の人に借りて!」
「いいから貸せって」
「、あー!!」


無理矢理の手から消しゴムを奪いとってノートの間違いを消す。何てことのないただの消しゴムじゃねーか。「早く!早く返してってば、榛名!」と隣で騒ぐに背中を向けて、まじまじと消しゴムを見つめる。


「榛名!かーえーしーてー!」
「うるせー」


後ろから伸びてくる手をかわそうと姿勢を変えた拍子に、コロンと消しゴムのカバーが外れて中身が床に落ちてしまった。慌てて拾うと、そこには小さく「M.H」と書かれていた。


「!、見ちゃ駄目!榛名!」
「へー、このイニシャル、俺?」
「ち、違う!」
「そうなの?これっておまじないってやつだろ?」
「う、」
「俺がこのイニシャルの野郎だったら今すぐにでも叶えてやるのにな」


顔を真っ赤にしたを見ながらにかっと笑ってみせる。さぁ、あとは返事を待つだけだ。



まるで魔法使いのような、