時刻表示を見れば二時半を少し回ったところだった。
あたしは今も唸り続けている携帯の無機質なバイブ音に起こされた。

「……ハイ、もしもし」
「遅ェよ馬鹿。12秒も待っちまったじゃねェですかィ」
「…用がないなら切るけど」
「まァイライラすんのは体によくありませんぜィ」
「誰のせいだァァァ!!」

もういい、切ろう。そう思って電源ボタンを押そうとしたとき、今までとは打って変わった小さな声が聞こえてきた。

「お前のこと考えてたら寝れなくなっちまったんでさァ」


不眠(夜もあなたのことを想ってる)
(もちろん俺が寝れるまで付き合ってくれますよねィ)(……もうちょっとだけだからね)