今日は朝からの様子が変だった。 朝食で俺の味噌汁を盛ろうとして椀をひっくり返すわ、廊下で顔を合わせれば来た道を引き返すわ、加えて声をかけようとすればさっさとどこかへ行ってしまう。何より、俺の目を見ようとしない。 自室で仕事に集中しようとするものの、頭の中で何か引っかかって離れない。 何か嫌われるようなことをしただろうか。以前から折角作ってもらった飯を食べなかったり、洗ったばかりの洗濯物をひっくり返したり、今思うとあいつを困らせるようなことばかりしていたけれども、そんなに急に避けるか?普通。 出来上がった書類を近藤さんに渡しに行くために部屋を出て少し冷たい廊下を歩く。突き当たりを曲がると、ちらりと薄桃色の着物の裾が目に入った。だ。咄嗟に俺は走り、少し前を歩くの腕を掴んだ。 「!!」 「!?、ひ、土方さん…?」 は恐る恐るといった感じに俺の方に顔を向ける。足元には箒や雑巾が転がっている。どうやら掃除の真っ最中だったようだ。 「な、どうしたんですか?」 「…お前、今日俺のこと避けてただろ」 「!、そんなつもりじゃ、」 「避けてたんだな」 「……はい」 「何でだ?」 確かに俺もお前の癇に障るようなことをしたかもしれねぇけど、と付け加えると、いきなり「違います!そういうのじゃないんです!」とが声を荒げた。 「違うんです、土方さんに怒っているとか、そういうのではなくて」 「……じゃあ、何だよ」 「………プレゼント、」 は見る見るうちに顔が赤くして、下を向いて申し訳なさそうに、用意していないんです、と呟いた。 「は?」 「だから、土方さんが今日誕生日なんて知らなくて、プレゼントとか用意していなくて、」 本当にごめんなさい、と俯きながらはか細い声で言葉を紡いだ。 俺はというと、暫く呆気にとられていたものの次第に笑みがこぼれてきて、少し笑いながらを抱き寄せた。 「ひ、じかたさ、ん?」 「いらねぇ」 「え?」 「お前の笑顔があればそれで十分」 一番欲しいものは、 (それがすべての幸せに繋がるから) |