(近藤の場合)

「局長!お疲れ様です!」
「ああ……ちゃん、お疲れ、」
「どうしたんですか局長、またお妙ちゃんに振られたんですか?」
「や、俺はただホワイトデーのお返しを思っただけなんだけどね…」
「追い返されたんですか?」
「お返しだけ剥ぎ取られて追い出されたよ」
「(うわあ…)ほ、ほら、受け取ってもらえただけでも凄いことですよ!局長、進歩ですよ!」
「そ、そうかなちゃん」
「そうですよ!」
「ありがとう…なんか元気出てきたわ俺」
「その調子です、いつか絶対報われますよ!」
「そうだちゃん、」

さっきまで廊下の隅に隠れてうじうじしていた局長は突然ポケットをごそごそと漁り始め、小さな青い袋をくれた。

「これ、ちゃんに。お返し」
「わ、ありがとうございます局長!」

大きなありがとうをこめて
(いつもありがとうね!)(幸せになってくださいねお父さん!)





(沖田の場合)

、隠れてもむだですぜィ」

名前を呼ばれて押入れの扉が勢いよく開く。首根っこを掴まれて私は外の空間に引きずり出された。

「痛い痛い痛い!沖田さん何するんですか!」
「うるせェ。なんでィ人が折角ホワイトデーにありがたいものをくれてやろうとしてんのに」
「そんな事言って一昨年は辛子入りの饅頭に去年は唐辛子のタルトだったじゃないですか!」
「あー、そんなこともありましたかねィ」
「酷っ!この人酷!助けておかーさァァァん!」
「ホイ」

一人騒ぐ私を尻目に沖田さんはす、とオレンジ色の包みを差し出してきた。どうやら食べ物ではないらしい。(よかった!)

「……なんですかこれ」
「指輪」
「うそ!」

慌てて包みを剥がすと中からコロンと小さな指輪が出てきた。どう考えても小さい子供が身に着けるようなサイズのものだ。当然私の指には入らない。

「ちょ、沖田さん、私これ入らないんですけど」
「来年はもうワンサイズ大きいのをあげますぜィ」
「や、あのこれワンサイズどころか、」
「サイズがぴったりになるくらいになったら結婚でもしときますかねェ」
「は!?」

幸せの行方
(沖田さん、正気ですか!?)(……前言撤回すっぞコノヤロー)





(土方の場合)

「土方さん、お茶です」

そう言ってお茶を机の上に置いて下がろうとしたら、土方さんに呼び止められた。

、今日何の日か知ってるか」
「あー、ホワイトデーでしたね、ひょっとして何かくれるんですか?」
「まぁ、何というかその、」
「嬉しいですよ、土方さんに貰えるなら」

そう言って笑うと土方さんはそうか、と少し頬を染めながらピンクの包みを私の手に置いた。

「まぁ、アレだ、似合うと思って、な」

仕事に戻るぞ!と赤くなりながら机にまた目を戻した土方さんが愛しくて、受け取った包みを握り締めた。

手のひらサイズの愛
(大切にしますね、)(…ああ)



Today is so lucky!