ねぇ銀ちゃんちょっと聞いてよ!と目を輝かせて朝から俺の家に上がりこんできたにまさかこんな話を聞かされるとは思ってもいなかった。 「その人ね、何て言ったと思う?「日本の夜明けまで、」だってー!ロマン派だよね!詩人!?」 もうこんなノロケ話を数十分と聞かされている。よくまぁ飽きずに喋れるなコイツ。 「……で、お前は何て答えたの」 「わかりました私と一緒に日本の夜明けを見に行きましょうって海岸までひとっ走りしようとしたらなぜか真選組の人に追いかけられて逃げられちゃった」 「お前バカだろ、絶対バカだろォォォ!!」 話を要約すると年末バイトでタクシー運転手の仕事をしていたらしいの車にヅラの奴(話を聞いているとそうらしい)が乗ってきたらしい。 「てゆーかお前女性用タクシー運転してんじゃねーの?」 「かっこよかったからつい!」 「ちゃんそのバイト絶対向いてないって」 しかしまぁヅラも相変わらずなのかねぇとぽろりと口に出したらはいきなり飛び掛ってきて「銀ちゃん知り合いなのォ!?」と俺の上に跨って襟元を掴みがくがく揺らしながら聞いてきた。(ヤベ、口が滑った…!)(ていうか死ぬ!揺さぶられっこ症候群で死ぬ!!) 俺の意識が遠のきかけた時、玄関の方から「坂田さんいますかァァァ!」と声がした。(て、天の助け…!) 「え、今の声「ヅラァァァ!お前ちょっと今すぐ入れェェェ!!」」 「ヅラじゃない桂だ!……お前、ちょ、お邪魔しま「誤解だから!何か色々誤解してるけどちょっととりあえず助けろコノヤロー!!」」 何とかを俺の上から引き剥がして顔を見るとはただただポカーンとヅラの顔を見つめていた。 「ん、そちらのお嬢さんは……確かこの間のタクシーの、」 「ええええとあの私と申します!!不束者ですがなにとぞよろしくお願いします!!」 はいきなり立ち上がって顔を真っ赤にしながらそう言った。オイお前本当バカだろ、そう言いかけると 「この間はあんなことに巻き込んでしまって本当にすまなかったな。」 「そんな、滅相もございません!あの、た、楽しかったですし、」 「しかし仕事にも支障は出ただろう、何かお詫びでも」 「全然大丈夫です!むしろこちらの方がお客様を目的地までお運びできないなんて……あの、こちらからのお詫びというかなんですけど、」 「?何だ?」 「今度一緒に日本の夜明けを見に行きませんか!?」 「おお、こんな若いお嬢さんがわれわれの活動に興味を持ってくれるのは大変嬉しいことだ。むしろこちらからお願いしたい」 「(活動?ボランティアとか?)、ぜ、ぜひ!」 おいおいなんだよこの甘酸っぱい空気は。ヅラもてめー何軽く頬染めてんだよ。 とりあえずにあいつの正体をどう打ち明けるかが一番の問題だな、その苦労を思い描いて俺は天井を見上げ溜息を吐いた。 君とどこまでも! (攘夷志士?何それ?)(危険?関係ないわ!私この出会いに運命感じてるんだから!) |