「銀ちゃーん!お醤油切れちゃったからちょっと買ってきてくれない?」 「えー俺今忙しいんですけど」 そういいながらソファーに寝転びジャンプを読んでいたらガンと頭をお玉で殴られた。 「痛ェなオイ!新八あたりにでも行かせときゃいいでしょーが!」 「新八くんはどっかの誰かさんと違って実家に戻ってお正月迎える準備してるわよ」 「そういうは正月どーすんだよ」 「もちろんここで過ごさせていただきます」 だって一人で過ごしても淋しいし、とは付け加える。 ああそういえばコイツの両親はもう亡くなってたんだっけ、そんなことをぼーっと考えていると「私も一緒に行ってあげるから早く用意しちゃいなさい!」とジャンプを取り上げられてマフラーをぐるぐる巻きにされた。ちょ、苦しいんだけどちゃん。 「スゲェ人だな」 買い物を終えて暫く歩いていると人ごみが激しくなってきた。きっと正月に向けて縁起物や食料をこぞって買いに来ているんだろう。正月もスーパーは開いているこのご時世でも年末ってのは人を忙しくさせるらしい。 「銀ちゃ、ちょ、歩くのはやい、」 がぜぇはぁと息を荒げながら追いかけてきた。大丈夫かコイツ、顔真っ赤だぞ。 「わり、ちょっと休むか?」 俺は背伸びをしながら公園のある方へ向きを変えて歩き始め、辺りを見回す。公園は逆に人が少ないらしかった。「オイ、、ちょっと休むぞ」と後ろを振り返るとの姿は見当たらなかった。 まさか、はぐれた? 急に俺の心臓は早鐘を打ち、手は軽く震え始めた。 「!!どこだ!?」 なりふり構わず大声を上げて名前を呼ぶ。 何で俺こんな必死になってるんだよ。あいつはただの知り合いだろ。 「!!「銀ちゃん!」」 ばっと後ろを見るとはー、はー、と大きく息をしながらが俺の着物の裾を握っていた。 「、オメーどこに、」 「人波に、飲まれっ、ちゃって、怖くて、」 は一旦言葉を切り、銀ちゃんのテンパは見つけやすかったよ、と言った。 ばかじゃねーの、こいつ。 顔真っ赤にして涙の跡がいっぱいついたぐしゃぐしゃの顔で憎まれ口叩いてんじゃねーよ。 「悪ィな、」 内心ほっとしながらを引き寄せて抱きしめると、 くぐもった声で心配かけてごめんなさい、と聞こえた。 バカヤロー、誰が心配なんかするかよ。 君がいないと、僕は、 (もの凄く不安になっただけだ、) |